昭和レトロな絵を描く安楽です。
新宿都庁45階に展望台があります。地上45階、東京のあちこちが見えて一望しただけで東京観光をした気分になれます。
そこには東京SEENというお土産物屋さんもあり外国人の方を中心に多くの方々でにぎわっています。
そこに横6メートル、高さ2.6メートルにわたって東京の地図を描かせていただきました。
浮世絵調の雰囲気で現代の東京を新宿都庁中心に描かせていただきました。
この手の鳥瞰図は自分も好きで20年前から100年前の鳥瞰図絵師、吉田初三郎に感銘して自分なりにあれこれ描いてきました。
土地や建物を大げさに描いて見立てを作ることで土地を魅力的に描き出すのがこの手の地図の醍醐味です。
どこを大げさにどこをはしょり、道の整合性をつけていくのはなかなか大変です(笑
手の込んだものだといつも3〜4ヶ月くらいの期間で描かせていただくことが多いのですが、今回は期間1ヶ月でした(爆)
本当は0から描きたかったですが、どう計算しても間に合いません。
過去にWeb用で東京富士塚マップは描かせていただいたことはあったので、それをお手本にすることにしました。
こちらの地図は江戸時代の富士山信仰にのっとってたくさん作られた富士塚の分布図の地図です。
町人(一般市民?)が当時住んでいた、下町あたり、墨田区、江戸川区、板橋区、豊島区、品川区、大田区あたりを強調した地図です。
現代の観光地がもっと内部なので大きくアレンジが必要でしたが、納期から逆算すると、そのやり方でないと間に合わないので、東京富士塚マップをお手本に骨格を作っていくことにしました。
いつもはベースのペン入れはペンを使って紙に描いています。
でも今回は紙のスキャン処理など、時間を省きたいと思い、コンピューターですべて描くことにしました。
これまで、コンピュータで色や線を入れるときは板タブレットという、遠隔で絵を描く道具を使ってましたが、今回、ダイレクトに絵を描いてるような感じがする、巨大(14インチ)な液晶ペンタブレットを購入して作業能率アップを図りました。
液晶の光が近くで目に触れて視力が落ちそうな気がして、今まで使ってなかったですが、3ヶ月の作業を1ヶ月に圧縮するためにはいたしかたありません。
色塗りも、今回、イラストレーターの河野せいじさんに大部分をご依頼しました。
河野さんは自分も所属していた似顔絵グループお絵かき隊で一緒に似顔絵を描いていた方。
そんなこんなで納期に間に合わすべく、どこまで良い感じで描けるかが試されるご依頼となりました。
ペン入れがある程度できたら河野さんに色塗りの依頼。とにかく1秒も無駄にできません。
並行して別の仕事もいくつも進めているので、
地図のタイトルである東京眺望観光図のロゴも希望されたので、グラフィックデザイナーのtiptopの中森さんに作っていただきました。
とにかく時間との戦いなので、「明日自分が死んでんでも最低限の形になってるように見える」を主眼に描き進めました。
いつもは周辺の都市も細かく描くのですが、今回は「東京のまちが目立つように」となるべく控えめにしました。
締切と共にマップも完成。
無事納品できました。
ホッ
お披露目が3月20日。
別件もあって東京にいたので見に行ってきました。
都庁の展望台は人気エリアだそうで、いつも30分くらい並ぶそうです。
たくさんの外国の旅行者でにぎわっています。
エレベーターで45階展望台に上がると、目の前に東京マップは展示されてました。
朝10時前でしたが、多くの方が記念撮影をされてます。
インパクトもあったようで、周りのガイドの方やエレベーターで案内されてる方も喜んでお見えでした。
今回、発注いただいたノムラメディアスの担当の方にもお会いしたのであれこれしゃべっていたら、周りの方も自分が作者と気づいてくださり、いろいろ感動を伝えてくださいます。
苦労して描いたのは本当なので、苦労が報われたようでうれしかったです。
そんなわけで新宿都庁にある東京眺望観光図、ずいぶんな迫力なので東京観光にごらんませ。
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